まんが日本昔ばなし『荒坂長者』
あらすじ
昔、播磨国(現・兵庫県)に荒坂長者という大変な金持ちがいました。長者は自分や自分の家族の裕福さに満足し、他人のことは気にしませんでしたが、ある夜、夢の中で「財産を他人に分けて賑やかに暮らせ」というお告げを受けます。
長者はこのお告げに従い、財産を人々に施し始めました。するとみるみるうちに、荒れ地だった周辺が緑豊かな田園地帯に生まれ変わり、人々がそこで平和に暮らすようになりました。
しかし、長者の妻は夫の行動に腹を立て、邪魔をしようと企てました。ある日、長者が人々に粥を施そうとしたとき、妻は粥に大量の砂を混ぜ込みました。それでも長者は気にせず、人々に粥を配ったのです。すると不思議なことに、人々が粥を食べると、砂はすべて金や銀に変わり、人々はさらに豊かになりました。
長者の妻は自分の行いを恥じ、夫に謝りました。長者は妻を許し、夫婦は仲良く暮らしました。
報復
その後、荒坂長者のもとに、以前金貸しで彼にひどい目に遭わされた男が訪れました。男は長者に「自分の命を奪え」と頼みました。長者は最初は戸惑いましたが、男の苦しみを汲み取って、彼を自分の持っていた刀で斬りました。すると、長者の刀から毒の霧が立ち上り、長者と彼の妻は両目が潰れました。
教訓
『荒坂長者』の教訓は、次のようなものです。
- 財産は分かち合って人々と共に楽しむべき。
- 他人を傷つけたり、不当に苦しめたりしてはならない。
- 人の行いには、必ず報いがある。
その他
- 荒坂長者の伝説は、現在も播磨地方で語り継がれています。
- 『荒坂長者』のアニメ版は、1978年に放映されました。
- 『荒坂長者』は、しばしば「荒城長者」というタイトルでも知られています。